最終話 スタンド・バイ・ミー
あの日。 絶望と混沌の中から君が再び目覚めたあの日から。 俺たちはあの町を出た。 世界の果てから世界の果てまで、 誰も知らない、 町を目指して。 流れ着いた其の土地で、 俺たちは 小さな店を開く。 其処では、 誰も怒ったりしない、 誰も泣いたり、 死んだりしない。 只、 一回の食事を愉しむ為に、 人々が訪れる、 そんな店。 店には毎日花を飾ろう。 赤や黄色や白の野の花を。 花を摘むのは君の仕事。 俺は腕を振るって料理を作る。 キッシュにオムレツ、 サラダにシチュゥ、 コンソメスープ。 クリーム色の壁には君の描いた絵を飾ろう。 店に訪れる人々や、 「ママ」や「ボス」や「蜜蜂」の絵を。 感謝祭には お世話になった人々に、 心からの贈り物。 ハロウィンやクリスマスには 小さなパーティだって催こう。 楽しい事、 君はとても好きだろう。 其処には皆がやって来る。 俺たちは笑って皆を迎え入れるんだ。 誰もがしあわせになれる、 そんな店。 カフェ 「ジャンベルティーノ」 fin * |