失われてゆくぬくもりの中で、

只、君の笑顔を探していた。

 

 

 

 

 

9話 プロミス

 

急速に色を失っていく景色の中で、

朦朧とする意識の中で、

ただ、君のだけがはっきり聞こえてきた。

「ジャン。」

そら。

「いやだよ。ジャン。しんじゃいやだよ。」

無理だよ。もう君の顔も見えない。

「やくそくしたじゃない。

いっしょにいこうねって、やくそくしたじゃない。」

ごめんね、果たせそうもない。

あぁ、そら。

泣かないで。

君の笑顔が見たいんだ。

でも君はぐしゃぐしゃに顔を歪め、

何度も僕の名前を呼んだ。

「ジャン、」

「ジャン、」

「ジャンベルティノ。」

「そらもいくよ。」

いっしょに、いくよ。

泣きながら、笑って、君は、

「クロ、ソラをよろしくね。」

僕の意識と手をいだ。

其れが、

最後。

僕らの、最後。

この世界にソラとクロをして。

僕たちは旅立ったんだ。

 

 

 

・・・行っちゃった。」

生まれたままの姿をして、

俺の目の前にされたソラは言った。

「行っちゃった。ジャンとそら。蜜蜂も。」

みんないっちゃった。

そうく君はとても幼く、

まるでそらのようだった。

 

「とりあえず何か着ろよ。話しにくいだろ。」

俺はそう言って着てきたコトを彼女に投げかけ、

瞳を逸らした。

・・・そうだね。」

そう言う君は、少しだけ笑っていたがした。

 

 

「いつかの海で供養しよう。」

君がそう言ったので、

俺たちは明け方の道を飛ばして海へた。

雨上がりの低い雲を散らす、海へ。

俺たちは砂を深く掘って

猫を埋めた。

「さようなら。」

「ありがとう。」

2言いて砂をかける。

勇敢で、

尊い、

君の最後の友達は、

かに見えなくなっていった。

全てが終わるといつかのように君は歌いだした。

「アニ

俺は、

胸が詰まって

泣きそうになった。

それ以上歌わせないように、

後ろから君を抱きしめた。

細い、儚い、小さな君。

君は、

泣いていたんだね。

俺の手のひらにが落ちる。

「みんな行っちゃったよ。」

「ママも、ボスも、蜜蜂も、」

「そらも、ジャンベルティノも。」

「みんな、あたしをして。」

君は、

れそうなこころで、

必死で、自らを支える。

ばかだなぁ。

ったっていいんだ。

倒れたっていいんだ。

俺が、受け止めてやるよ。

あんまりく抱きしめると折れてしまいそうな君を、

俺は優しく抱いた。

「俺はあんたのそばにいる。」

「ずっと、そばにいてやるから。」

だから、

だから、

「本?」

泣くなよ。

「本だ。」

未だ君の笑顔を見ていない。

「あたしのこと、怖くない?」

俺は首を振る。

「あたしのこと、だって思ったでしょう。」

もう一度、ゆっくり。

「蜜蜂にいろいろ聞いて、俺だって考えたさ。」

でも、大丈夫だよ。

「俺はあんたが好きだから。」

「ソラの中そらや、蜜蜂や、とにかく全部丸ごと、受け入れてやるよ。」

其の瞬間、

君は振り向いて、大で泣いた。

俺の胸に、

顔を埋めて。

いなくなってしまった優しい人たちのために。

昇天した愛しい魂のために。

君は泣いた。

俺は、

そんな君のを、

全部み干してもいいから。

だから、

山泣いて。

泣き止んだら、

世界が少しでもよく見えるように。

今は、

 

「たくさん殺しちゃった。」

・・・あぁ。」

「あたし、いらないこどもだった。」

「俺も、似たようなもん。」

「クロも?」

返事のわりに笑ってやった。

「あたしたち、知らない事が多すぎるね。」

「はじまったばっかりだからな。」

知らないことなんて山あるんだ。

この世界には、まだ君の知らない、

素敵なこと、

しいこと、

悲しいこと、

幸せなこと、

まだまだ、あるんだ。

だから、

話をしよう。

手をぎ、

夢を見よう。

山、

抱き合おう。

「クロ。」

君は俺の名を呼び、

全てを含んだで、

「ありがとう。」

そう言った。

 


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